ピストルズ やがて哀しき独り言

東京・恵比寿で広告・Webプランニング・開発・制作会社を経営する3年目経営者の悲哀を語っていきます。 弊社URL→ http://www.pistil-pistol.co.jp

続・住宅展示場にて、学ぶ。

今日もまた、住宅展示場に見学に行った。

ゴールデンウィーク、これで3度目の訪問。朝から晩まで各社モデルハウスの前で、呼び込み係の新人らしき営業さんたちの立ち尽くす姿が気の毒になってくる。とはいえ、こちらも遊び半分本気半分で来ているわけで、彼ら彼女らの必死さに感化されている場合ではない。刺すか刺されるかの、極めて緊張した状況がつづく。

P社の営業さんは30代後半くらい、僕と同年代っぽい男性だ。ここの特徴はモデルハウスの豪華さで来場者を圧倒するような見かけ倒しの造りではなく、狭小地にもとことん対応できます!と言わんばかりの20坪弱の敷地面積に狭小3階建て。ほうほう、こちらの懐状況を分かってるじゃないか!と、ついついモデルハウスの中に流されるように入ってしまった。ところがその営業マンと会話してすぐに気が付いたのだが、彼はそのリアリティ溢れるモデルハウスをいかにも私たちは分かっています、あなた方がそんなにお金もなくて土地も狭くて、それでも注文住宅を建てたがっている立場をわきまえないわがまま共だということを!といった雰囲気を醸し出しているのだ。狭小地を前提とした話をし始めた彼に対し、日ごろ大したことでは腹を立てない昼行燈的な僕でさえも我慢がならずに、「実家の土地はねえ、JRの駅から徒歩3分で敷地も50坪以上あるんだよ。見損なってもらっては困るのだよ、ええ?」と軽く恫喝し、すぐさまそこを後にした。

もう一軒の方のP社は30歳前後のゆるキャラっぽい人相の青年。鉄骨・木造の違い、店舗を併用した場合の間取りの組み方などを懇切丁寧に説明してくれる。滑らかな口調と、会社内でもいよいよ部下を持ち前途洋々な未来を手にしかけている印象で、聞いているこちらも非常に印象がよい。長時間話を聞くことになってしまい、その間コーラだ、アイスコーヒーだ、ジャスミンティーだと何度も飲物を運んでくれて、「接客というのは相手の状況をきちんと見ながら進めるべきだよな、ふむふむ」などと僕も勉強させてもらった。思わず敷地調査や周辺環境調査まで依頼してそこを後にしたのだが、飲物を飲み過ぎたせいかお腹がかなりゆるくなってしまって、次に訪れようと思っていたM社の前を素通りして、一目散にトイレに向かうことに。TOTO製の便器に座り込みながら、待てよ、あのドリンク作戦、実は他社に足を向かわせないようにするためにあれだけの飲物を僕の胃に流し込んだのではあるまいか?だとすると、あの男、爽やかな印象の裏には極めて悪質な本意があったのではあるまいか?と、すぐに人を信用してしまう自分への腹立ちと共に憎悪に燃える結果となった。

お腹の調子が回復して向かったT社のモデルハウス。かなり太った中年の男性営業につかまり県内産の木材にこだわった軸組工法の自慢話を聞く羽目になったのだが、この男、実に汗臭い。工法の話は実にためになるものなので近づいて詳しく話を聞きたいのだが、その臭いがあと一歩踏み込むことを僕に躊躇させる。身だしなみの重要さを教えてくれただけでも来た甲斐があったと思わせてくれる営業さんだった。

さて、このゴールデンウィークにおける3回もの住宅展示場訪問で分かったことは、いかに相手の状況を見極めて話すべきこと話さざるべきことを瞬時に判断しなくてはいけないかということだ。お客さんの考えがまだまだ不完全な状態で、言いたいことを言い切ってしまおうとするのは、相手を疲弊させ、苛立たせるだけだ。一方で、お客さんも何を話していいかよく分かってない状況で質問攻めすることもナンセンス。押して引いてのバランスが実に難しい。

僕は前職での12年間、一度たりとも営業をしたことがない。BtoBとBtoCの違いはあるにせよ、相対するお客様の心理状況や置かれた立場まで配慮して交渉するのは本当に難しいことだ。

さて、この経験を今後どう活かしていくかだ。まずは営業ツールのメインとなる自社サイトとプロジェクト事例をきちんと構築し直さねば。