ピストルズ やがて哀しき独り言

東京・恵比寿で広告・Webプランニング・開発・制作会社を経営する3年目経営者の悲哀を語っていきます。 弊社URL→ http://www.pistil-pistol.co.jp

人妻シャンプー

僕が月に1回通う美容院は、なぜか託児所が付属している。それは主婦のお客さんの為というよりも、どうやらそこで働く人妻美容師の為という意味合いが強そうだ。カットだけなら2200円、シャンプーオプションを追加しても3000円でお釣りがくるほどのローカル価格の店である。

僕はもともと外見にこだわりがある方ではないし、20代の頃は、「AV監督とかにいそう〜」などとコソコソ言われるくらい髪は伸ばしたい放題だったのに、なにゆえ月1ペースでその美容院に通うようになったのかと言うと、なんてことはない、そこに胸が疼くような人妻美容師さんがいるからだ。

その人は、みなさんが大好きな結城みささんから、色気を多少薄めにブレンドしたような人で、これは月1でも足りないくらい通いつめたくなる疼きを僕に呼び起こす。 当然指名予約してるんだろうドスケベ野郎がっ!!と言われることは分かっているし、根が心底小心者の僕は、「あの変態またきやがったな」と金髪のオーナー店長風情にふくみ笑いされるのが癪にさわるので、予約せず、ふらーっと店の前を通ると、あれ、ちょっと髪伸びてきたなぁ、ここら辺でいっちょう切っとくか、などという極めて自然体の風を装い、素知らぬ顔で店に入ることにしている。

そんな苦労を金髪風情は知ってか知らずか、ここ3回いずれもハズレを押しつけて来ていたのだが、遂に今日、1月以来の当たりを引くことになった! 残念ながらド近眼の僕は、髪を切り刻んで貰っている間はメガネを外しているので、彼女の顔は見えない。本音を言えば、あのーすいません、切りにくい事は百も承知で無礼を申し上げるのですが、細々と切り方をチェック及び指示したいので、大変申し上げにくい事ではあるのですが、メガネをつけたまま、いっちょうやってくれませんかね?と言いたいのであるが、御存知小心短小包茎野郎の僕にそんな事は言えない。この時ほどスーパーマリオをやり過ぎて眼を悪くした自分と任天堂を呪う瞬間はない。

そんな悶々とする時間の中で唯一昇天したくなるのが、オプションのシャンプータイムである。美容院でシャンプーする時は、仰向けの状態で白いガーゼみたいなものを顔に被せられるわけだが、僕の顔がいささか大きすぎるせいか、眼の両端部分がはみ出るような仕組みになっている。その小さな隙間から覗き見る彼女の表情は、この世の美以外のなにものでもないのだ。痒いところありませんか〜などと言われると、全身の血液が逆噴射しまくっている僕は、もう全身が疼いてて痒くて仕方ないんですっ!と心で絶叫しつつ、極めてクールに、いいえ、気を遣っていただいてありがとう、などとスカしてやるのだ。

そしてシャンプータイムのフィニッシュは、こめかみあたりを両の親指でぎゅぎゅっと押しつけてくる秘技である。僕の逆噴射確変実施中の血液も果てしない太平洋の中へと流れ込んでいく仕儀となってしまうのだった。

月1回の悦びを求め、かなりハイリスクな未予約入店というプレイは、この生きにくい世を生きる活力になっていることは間違いない。

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