ピストルズ やがて哀しき独り言

東京・恵比寿で広告・Webプランニング・開発・制作会社を経営する3年目経営者の悲哀を語っていきます。 弊社URL→ http://www.pistil-pistol.co.jp

心のこり

5月末で、2年通ったジムを辞めることにした。4月以降ジムに通う回数が激減し、また目標としていた体重や体脂肪率なども達成したりと、ジムに通うことへのモチベーションが低下したことが原因だ。とはいえ、体脂肪率10%を切ることへの執着は捨てていないし、ピストルズ from EXILE TRIBEへの道もまだ半ばであるわけだから、これからは細々とジョギングを続けていこうと思う。

ただひとつ心残りなのは、ジムで知り合った受付の女の子(25)のことだ。彼女はそもそも入会時に受付担当してくれた子で、また以前Facebookにも投稿したのだが、僕が誰もいない更衣室で、何一つ身にまとうことなく生まれたままの自然な体で、鏡に向かってミケランジェロポーズで自分に酔っている姿を目撃されたこともある。

そして僕の退会手続きも、偶然にも彼女が担当してくれたのである。

「山宮さんが週3回通うのは難しいと仰ってたのに、実際は4~5回通ってくださってましたよね。本当に嬉しかったです」などと彼女が言うものだから、僕も涙を堪えられなくなりそうで、「あなたに会うのが楽しみだったのかもしれないですね」などと、心にもないことを口にしてしまえる自分が恥ずかしいのだが、僕の意志とは裏腹に、「いつも笑顔が素敵だなと思ってました」などと追い打ちをかけるようなことを口にしてしまうのだった。

そんな流れでLINEの交換などもしてしまい、完全に舞い上がってしまった僕は、「これが巷で流行りのジムコンっていうやつだな」と内心で浮かれ倒す合コン童貞の高校生のような気分になってしまった。

そんなわけで一昨日、彼女の地元であるという西川口という街で飲むことになってしまった。西川口といえば、男性諸君なら一度は聞いたことのある”NK流”で一時代を築いた地元・埼玉の一大歓楽街である。とはいってもそれは10年くらい前の話で、いまでは警察の厳しい監視下のもと、うら寂れた飲み屋街に落ちぶれてしまっている。

待ち合わせの15分ほど前に西川口駅についた僕は、まだ店の予約をしていなかったため、様々な状況を踏まえたシミュレーションを行うことになった。3年くらい前に来て大変美味しかった韓国料理屋、さびれた感じがまたその店の年季を思わせるような焼き鳥屋、超有名店の焼肉屋、まずいことにどれも駅の西口に店を構えているのだ。

問題は、この駅の西口というのは、大変淫靡な香りが鼻につく街で、ラブホテルやルートコがいまだひしめき合うような場所。37歳のおっさんと25歳のうら若き女子が2人で歩いていると、まず間違いなくそっちの目線が突き刺さるであろう。それはまずいのだ!

このさい西口は考慮に入れるべきではないと、冷静かつ鋭い判断を下した僕は、とりあえず東口駅前のミスタードーナッツで東口限定のシミュレーションを行うダンドリを組んだのだ。

でもそこに落とし穴が潜んでいた。闇は知らず知らず僕のもとへやってくる。ミスドゴールデンチョコレートとブレンドコーヒーを注文し、スマホで片っ端から東口の店を探し出した。だが、37歳のダンディでスマートな男がチョイスすべき店が見つからず、いらいらしながらコーヒーをお代わりする。そのコーヒーも3杯目に差し掛かったころ、彼女からLINEで30分遅れるとの通知が。内心ほっとしながら、一向に見つかる気配のない店探しに全身の血液が沸騰し、体内を巡りに巡っていたのだろう。どうもお腹の様子がおかしい。

下痢になったのだ。僕はミスドのトイレに駆け込み、スマホを抱え込むように脱糞作業及び店探しという重大な2つの任務を行わなければいけない状況に追い込まれた。ただ下処理の方が大変忙しく、スマホなどいじっていられない状況となったため、20分以上お尻ふきふきしてはまた出してを繰り返してしまった。ひと段落して、スマホを見ると20時40分。すでに約束の時間は過ぎている。しかもトイレの中は圏外になっている。僕はトイレの鏡で見た青白い顔が、約束に遅れたためか、店が見つからないためか、圏外で連絡がつかない状況になっているためか、はたまたすべてを出し切ったためか分からなくなり、混乱の中へ落ち込んでいった。

その後の事はここには書かない。でも心のこりだけは残ったのは確かだ。