ピストルズ やがて哀しき独り言

東京・恵比寿で広告・Webプランニング・開発・制作会社を経営する3年目経営者の悲哀を語っていきます。 弊社URL→ http://www.pistil-pistol.co.jp

スローバラード 01

ここ1週間くらい、コピーを書いたり企画書をつくったりしながら、ずっとRCサクセションを聴いている。

僕のiPhoneの中には17種類ほどのプレイリストがあって、それぞれに「拓郎コレクション~人生を語らず~」「拓郎コレクション2~どうしてこんなに悲しいんだろう~」「ヨコワケハンサム・ベスト」「60's~ビートルズローリングストーンズ・ビージーズを中心に~」「60's~ボブディラン、S&G、ビーチボーイズを中心に~」「70's~フォークソング特集~」「80’s~中森明菜、安全地帯、チェッカーズを中心に~」「松本隆作詞集」「サカナクション好きな曲だけ」「AKBシングルコレクション」「モーツァルト特集」「男の演歌特集」「女の情念特集」「長渕剛~風は南から→家族まで~」「アメリカンロック~スプリングスティーン、ザ・バンド、ドアーズなど」「沈んだ時に聴きたい竹内まりや山下達郎夫妻」「RCサクセションタイマーズ」とまあ、支離滅裂というか、好きな音楽の流れが全く見えてこない選曲となっている。

で、RCサクセションの代表曲の1つ、「スローバラード」だ。You Tubeで見ると、けっこうたくさんの人がカバーしているけれど、清志郎以外が歌うスローバラードは、やっぱり単なるバラードで、誰も本家RCサクセションを超えることはできない。

清志郎のボーカルの凄さももちろんあるのだけれど、清志郎が描く詩の世界はいつでも独特で、どうしてか無性に胸を締め付けてくるものがある。清志郎が書いて歌っていないと、この感情にはならない。不思議だけれど。

「昨日はクルマの中で寝た あの娘と手を繋いで」

冒頭のこの一節でもう来てしまう。蘇るのは大学1年の冬。オヤジのクルマ(HONDA)を借りて、彼女と湘南の海に行った。当時の彼女は福岡出身の同い年。専門学校に通いながら読者モデルをしている子だった(はい、面食いです僕!)。その年の夏の終わり、いつものように池袋西口公園でナンパ待ちをしている子たちを物色していた僕は、ターゲットを短大生・専門学校生に絞り、「早稲田生」というブランド力を最大限に利用した周到かつせこい戦略で複数回のナンパ成功を果たしているという事実に自信をつけていたため、公園内にいる一番の美人に声をかけた。それが彼女だった。

「わたくし、早稲田大学の1年生なんですけども、インカレサークルの勧誘やってまして、いえいえ決して怪しいものではありませんのですけども、先輩からしつこく勧誘を命じられておりまして、ぜひ一度お話だけでも聞いていただけないかと。いえいえ、女の子に睡眠薬入りのカクテルを飲ませて眠ったすきに、なんてことは一切ない安全安心が第一主義のインカレサークルです。え?なにをするのかって?どんなことがしたいですか?えっ?高校ではバスケをやられていたんですか?もちろんバスケもやります。ハイキングにも行ったり、秋になったら高尾山に登ったり、キャンプ、水泳、夏休みにはお金を出し合って南紀白浜などに遊びに出かけたりと、まあなんでもアリのサークルなんです。え?なんでもアリとはどういうことだと?もちろん一線を越えてはいけないルールは厳しく引いておりますので、親御さんにご迷惑をおかけするようなことは一切ございません!」などと、実に清々しい勧誘を装い、インカレサークルなどに入っているわけでもないのに、口から出まかせ放題でルノワールに誘い出したのだった。

(次回へつづく)

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