ピストルズ やがて哀しき独り言

東京・恵比寿で広告・Webプランニング・開発・制作会社を経営する3年目経営者の悲哀を語っていきます。 弊社URL→ http://www.pistil-pistol.co.jp

天人唐草と、星の瞳のシルエット。

弊社ピストルズの恵比寿事務所というのは、築40年をゆうに越える木造2階建ての貸家であり、耐震・制震といった概念を完全に超越した建築物である。無論地震があれば揺れるし、風が吹けば寒い。いわゆる東京大地震が起こるとすれば、恵比寿界隈ではまず真っ先に崩れ落ちる城である。難攻不落どころか易攻自落のため、契約しているALSOKからもないがしろにされている感が否めないのである。CMキャラクターの吉田沙保里に守ってもらえるどころか、室内で彼女にタックルでもされたら、建物ごと崩れ落ちていくこと請け合いだ。

そんな聞くも涙の我が事務所であるが、弊社の敷地内はこの時期になると雑草だらけの悲惨な状況になる。昨年も相棒と草むしりをしたのであるが、今年もいよいよ雑草だらけで、傍から見れば大草原の小さな家状態である。そうなると弊社の前の道を通学路としている広尾高校のバカな高校生たちはヤマザキパンの袋を捨てて行くわ、近所の会社員たちは吸い殻をポイ捨てして行くわ、新興宗教の勧誘はポストに案内を入れて行くわで、ちょっとした不法投棄の山みたいな状況となる。世界中からバカにされている気分となり、事務所の中に引き籠りたい沈痛な面持ちとなる。

しかし、救いもある。弊社事務所を取り囲む雑草群の中に、“天人唐草”が混じっているのである。この素敵な名前をもつ雑草は春の初めに薄紫の小さいささやかな花を咲かせる。それがすさんだ僕たちにわずかながらの希望を抱かせる。その花が咲き誇る頃になると、僕らはおもむろに株主総会を開催し、議長である僕が毎年恒例となった「今年度もやっぱり駄目でした」と開口一番に決めゼリフをかますのだ。

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ただしそれはあくまで春の話である。梅雨時になると無数に絡みついた茎ががっちりと大地に根を張り、引っこ抜きたくてもなかなか引き抜けない、実にやっかいな雑草と成り下がる。まあそれはどうでもいい話。

で、その天人唐草であるが、別名「星の瞳」と呼ばれる。つい最近知ったのだが、星の瞳なんてとても素敵じゃあないか!そう、「星の瞳のシルエット」だ。「耳をすませば」の原作で有名な柊あおいの代表作ではないか。中学生のころ、妹が集めていた単行本を貪るように読んだことを覚えている。メロンパンが好物の久住くんと、メロンパンに恋する香澄ちゃんのラブロマンス。2人の出会いの決定的場面となった「すすき野原」にもきっとこの星の瞳こと天人唐草が生い茂っていたはずなのだ。

なんとロマンチックな雑草、いや花なのだろうと、少々おとめチックな気分に酔いしれたまもなく38歳の僕は、この天人唐草に思いを馳せてウィキってみた。するとさらにまた別の名称をこの天人唐草は持っていたことを知った。

オオイヌノフグリ

漢字で書けば大犬の陰嚢となる。つまりでっけー犬の金玉ということだ。ということは、である。あの感動巨編「星の瞳のシルエット」は「でっけー犬の金玉の影絵」ということになる。もっと言ってしまえば、我が事務所は無数のでっけー犬の金玉に取り囲まれているのだ。